からくりからくさ
「からくりからくさ」 梨木香歩 新潮社
機織りや染織に関わる女性4人達のお話だったんですが
人間関係の複雑な感情とその自己処理は4人それぞれ違いがあって
印象に残りました。
面のお話が出てきて、先祖の代でおきた事件が絡んできて物語は複雑さを帯びて
世界各地の機織りに共通するイメージや象徴、込められた想いや祈りのお話に膨らみ
家系の連なりは織物のようでもあると考えられて
民族などルーツと呼ばれるような深い部分の共通領域にまで広がりました。
けれども不思議と広がって膨らんで深みを増す物語を読んでいた先にたどり着くのは
1人1人の普段の営みの姿で、変わる部分と続いていく部分の深いお話でした。
物語が色々膨らんでいくのに、ちゃんと物語の芯が
ずっと変わらずあり続けているのが本当にすごいと思いました。
こちらの本の前に、同じく梨木香歩さんの「りかさん」を読んでいると
よりこちらの物語が楽しめると思います。
私はこちらを先に読んでしまったので、あとで「りかさん」を読むのが楽しみです。
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